AIエージェントを1つ作って動かすところまでは、多くの企業が到達しています。次の段階は、役割の違う複数のエージェントが互いに連携して、人が介在せずにタスクを完遂するという形です。
この「A2A(Agent to Agent)」の実現可能性を、MastraとA2A Protocolで検証しました。結果として、エージェントが他のエージェントを自動で発見し、依頼して、成果物を受け取るという一連の流れの動作を確認できています。
この検証の概要
検証時期 | 2025年10月(10/11〜10/17) |
|---|---|
使用ツール | Mastra(A2A Protocol)/ Python / GitHub Codespace |
やりたかったこと | 複数のAIエージェントがHTTPS通信で対話・連携し、人が介在せずタスクを完遂する仕組みの検証 |
確認できたこと | 他エージェントの自動発見(discovered_agents)→ メッセージ送信 → 成果物の受け取りという一連のフロー |
検証内容 | クライアント側から俳句エージェントを呼び出し、特定テーマ(ゲーム「Strands」)に沿った出力を得る |
課題 | エージェント間のコンテキスト共有の深度 |
判定 | 完了(基本動作確認済み) |
本記事は自社での検証記録です。実業務への適用は行っていないため、効果の数値はありません。
結論:エージェントが他のエージェントを見つけて呼べる
この検証で確認できた最も重要な挙動がこれです。
エージェントが、利用可能な他のエージェントを自動で発見(discovered_agents)し、メッセージを送信して成果物を受け取るという一連のフローが動きました。
ポイントは「どのエージェントに頼むか」を人間が指定していない点です。使える相手を自分で見つけて、依頼する。これが成立すると、専門特化した小さなエージェントを並べておくだけで、必要な組み合わせが自動的に作られる可能性が出てきます。
今回は俳句を生成する専門エージェントを、クライアント側から呼び出す構成で確認しました。
HTTPS通信で繋がることの意味
技術的に見逃せない発見がこれです。
ローカル環境であっても、HTTPS通信を介したエージェント同士の疎通が確立できれば、将来的に異なるプラットフォームやサーバー間でのAI連携が可能になります。
同じアプリケーションの中で完結する連携ではなく、ネットワーク越しに別々のシステムのエージェントが会話するという構図です。自社のエージェントと取引先のエージェントが直接やりとりする、といった将来像に繋がります。
課題:コンテキスト共有の深度
一方で、明確な課題も見えました。エージェント間のコンテキスト共有の深度です。
今回の検証は単発の呼び出しでした。「このテーマで俳句を作って」と依頼し、結果を受け取る。この範囲であれば問題ありません。
しかし複雑なタスクになると、やりとりの途中経過や前提を、エージェント間でどこまで共有するかという設計が必要になります。何度も往復するタスクでは、状態(State)を保持するための設計が要るというのが今回の想定です。
人間のチームでも、都度ゼロから説明していては仕事になりません。エージェント間の連携でも、同じ問題が形を変えて現れます。
現時点での位置づけ
A2Aはまだ実業務に投入する段階ではありませんが、基本動作が確認できたことには意味があります。
- 専門特化した小さなエージェントを並べる設計が現実味を帯びる
- プラットフォームを跨いだAI連携の土台になる
- ただし複雑なタスクには状態管理の設計が必要
よくある質問
A2Aとは何ですか?
Agent to Agent の略で、AIエージェント同士が直接連携してタスクを完遂する仕組みです。人間が「次はこのAIに聞いて」と指示するのではなく、エージェントが自分で必要な相手を見つけて依頼します。
実業務で使えますか?
現時点では基本動作の確認段階です。単発の呼び出しは問題なく動きましたが、複雑なタスクではエージェント間の状態保持の設計が必要になると想定しています。
MCPとは何が違いますか?
MCPはAIと外部ツールを繋ぐ規格ですが、A2Aはエージェント同士を繋ぐものです。前者は「AIが道具を使う」、後者は「AIがAIに頼む」という構図の違いがあります。
何が課題として残りましたか?
エージェント間のコンテキスト共有の深度です。今回は単発の呼び出しでしたが、複雑なタスクでは状態(State)を保持する設計が必要になります。
まとめ
- エージェントが他エージェントを自動発見(discovered_agents)し、依頼して成果物を受け取るフローを確認
- 「どのエージェントに頼むか」を人間が指定しない点が、従来の連携との大きな違い
- HTTPS通信で疎通できれば、プラットフォームやサーバーを跨いだAI連携に繋がる
- 課題はコンテキスト共有の深度。複雑なタスクには状態保持の設計が必要
AIエージェントの次の段階は、1体を賢くすることではなく、複数体をどう連携させるかに移りつつあります。その入口を確認した検証でした。
株式会社AI棒では、こうしたAI活用の検証を日々行い、企業のAI導入を支援しています。ご相談はお問い合わせフォームから、継続的な伴走支援についてはAI参謀をご覧ください。
