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2026年7月27日リサーチ・データ収集検証時期:2026年5月

承認フローが仕様に組み込まれたComputer Use|ブラウザ特化という設計判断【AI活用検証vol.98】

承認フローが仕様に組み込まれたComputer Use|ブラウザ特化という設計判断【AI活用検証vol.98】

AIにブラウザを操作させるとき、最も怖いのは「勝手に何かを実行してしまうこと」です。購入ボタンを押す、規約に同意する、送信してしまう——取り返しがつかない操作は避けたい。

Google のComputer Useは、この点に明示的な承認フローを組み込んでいます。この検証では、3社比較の一環としてその設計を調査しました。

この調査の概要

調査時期

2026年5月27日〜28日

対象

Google Gemini Computer Use(Gemini Developer API / Vertex AI)

対応範囲

ブラウザ+Android UI

コスト

入力 $1.25〜2.50 / 出力 $10〜15(per 1M)——3社中最も安価

提供状況

Preview(GAなし)

本記事は一次情報(公式ドキュメント)に基づく調査記録です。実機での精度・レイテンシ計測は未実施のため、実測値は含みません。

結論:ブラウザ完結の業務に絞るのが筋

3社を比較したうえでの位置づけです。

Googleは主にブラウザ前提(ENVIRONMENT_BROWSER)でデスクトップ操作は公式想定外のため、ブラウザ完結業務に絞るのが筋。

これは弱点ではなく、設計思想の違いと読むべきです。対象を絞ることで、その範囲での最適化が効きます。

実際、コスト面では明確に優位です。

ベンダー

入力(per 1M)

出力(per 1M)

Google

$1.25〜2.50

$10〜15

OpenAI

$2.50

$15

Anthropic

$5

$25

1サイトあたりのコスト試算でも、コンテキストキャッシュ併用で約$0.05〜0.07と3社中最安という結果でした。

safety_decision:承認フローが仕様に組み込まれている

この実装で最も注目すべき点です。

safety_decision フィールドをアプリケーション側で必ず処理する——という設計になっています。

さらに規約レベルでの制約もあります。

ToSで require_confirmation の自動バイパスを明示的に禁止しています。

つまり「確認をスキップする実装」自体が規約違反です。技術的に回避できても、やってはいけない。

禁止ユースケースも明示されています。

  • CAPTCHA解析
  • ユーザー同意なしの法的条件承認
  • 明示的承認なしの金融取引

「AIが人の代わりに同意する」ことへの線引きが、仕様と規約の両方で引かれています。自動化を設計する側にとって、この境界は明確なほうが判断しやすくなります。

安全に動かすための3点

公式が示す運用上の推奨事項です。

  1. safety_decision フィールドをアプリケーション側で必ず処理する
  2. サンドボックスVM / コンテナでの実行を前提とする
  3. ナビゲーション許可リスト / ブロックリストをカスタムシステムプロンプトに含める

3つ目が実用的です。どのサイトに行ってよいかを事前に指定しておけば、意図しないページへの遷移を減らせます。プロンプトインジェクションへの備えにもなります。

優位性

  • クラウド統合により既存環境にスムーズに組み込める
  • 入力料金が3社中最も安価
  • Android UI対応——モバイルアプリの操作という他社にない領域
  • safety_decision による明示的な承認フロー設計
  • Webタスクのベンチマークで70%+の性能を公式が主張

Android対応は独自性があります。ブラウザで完結しないモバイル業務が対象になり得ます。

懸念点

  • 全体的にPreview扱いでGAなし
  • 公式が「エラーと脆弱性が生じやすい可能性」と注意喚起している
  • ベンチマークの具体数値が公式ブログの画像内にあり、数値として抽出できない
  • 無料枠なし
  • 関連する実験的プロダクトは特定地域の上位プラン限定で、日本からUI経由では利用できない
  • 同時実行・タイムアウト等の定量制約が公式に不明

2つ目は重要です。提供元自身が不安定さを明示しています。これを前提に、失敗しても影響が小さい範囲から始めるべきです。

座標系の扱い

実装上の特徴として、1000×1000グリッドの座標を実画面解像度にスケーリングする方式をとっています。

画面サイズが変わっても指示側の座標系は一定になるため、解像度依存の実装を避けられます。

あわせて、カスタム関数によるアクション拡張にも対応しています。

ベンダーロックインの観点

導入判断時の留意点として整理されています。

クラウドプラットフォームへの統合が深い場合、移行コストは高めになります。

統合の深さは、導入の容易さと引き換えです。既にそのクラウドを使っているなら利点、そうでないなら検討事項になります。

よくある質問

デスクトップアプリは操作できますか?

公式想定外です。主にブラウザを対象としており、Android UIにも対応しています。デスクトップ操作が必要な場合は他社の選択肢を検討することになります。

確認フローをスキップできますか?

できません。ToSで確認要求の自動バイパスが明示的に禁止されています。CAPTCHA解析、同意なしの法的条件承認、承認なしの金融取引も禁止ユースケースです。

コストは安いですか?

3社中最も安価です。入力$1.25〜2.50 / 出力$10〜15(per 1M)で、1サイトあたりの試算でもキャッシュ併用で約$0.05〜0.07と最安でした。ただし無料枠はありません。

本番運用できますか?

Preview扱いのため慎重な判断が必要です。公式自身が「エラーと脆弱性が生じやすい可能性」と注意喚起しています。

まとめ

  • Googleの Computer Use はブラウザ+Android が対象。デスクトップ操作は公式想定外
  • 入力料金が3社中最安(1サイト約$0.05〜0.07)
  • safety_decision による承認フローが仕様に組み込まれている。自動バイパスはToS違反
  • CAPTCHA解析・同意なしの法的条件承認・承認なしの金融取引は禁止ユースケース
  • 安全運用の要点は承認処理・サンドボックス実行・ナビゲーション許可リストの3点
  • Preview扱いでGAなし。公式自身が不安定さを注意喚起している
  • Android UI対応は他社にない領域

AIに操作を任せるとき、「どこで止まるか」の設計が安全性を決めます。仕様として承認フローが組み込まれているかどうかは、選定時の判断材料になります。

株式会社AI棒では、こうしたAI活用の検証を日々行い、企業の業務自動化を支援しています。ご相談はお問い合わせフォームから、継続的な伴走支援についてはAI参謀をご覧ください。

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