Figmaを開く前の段階——「とりあえず形にして議論したい」というラピッドプロトタイピングの局面で、非デザイナーでも高品質なUIが作れるのか。GeminiのCanvas機能と、Googleの実験的ツールStitchを検証しました。
結論として、この2つは役割が異なり、組み合わせるものだと分かりました。そして両方とも「デザイン検証用」と割り切ることで実用的になります。
この検証の概要
検証時期 | 2025年9月18日 |
|---|---|
使用ツール | Gemini Canvas / Stitch(いずれもGoogle) |
やりたかったこと | Figma等を使う前段階のラピッドプロトタイピングで、非デザイナーでも高品質なUI/UXを構築できるか |
Gemini Canvas | モックアップの即時生成。コピペの手間を省くエディタとして優秀 |
Stitch | PC/スマホ両対応のレスポンシブUI自動生成。HTML/Tailwind CSS/JSXを即時エクスポート |
判定 | 完了(適応領域の特定) |
本記事は自社での検証記録です。制作時間の短縮率などの定量測定は行っていないため、数値は掲載していません。
結論:Stitchはデザインと実装のギャップを埋める
この検証で最も価値の大きかった発見がこれです。
StitchはHTML / Tailwind CSS / JSXを即時エクスポートできるため、デザインからフロントエンド実装へのギャップを埋めるのに極めて強力です。
デザインツールの多くは「見た目」を出力します。そこから実装に移すには、人が改めてコードを書く工程が必要でした。Stitchはその段差を飛ばします。しかもPC・スマホ両対応のレスポンシブUIを自動で生成します。
「デザインを作る」と「実装に渡す」の間にある手間が消える、というのが実務での意味です。
Gemini Canvasの位置づけ:エディタとして優秀
Gemini Canvasについては、モックアップの即時生成が可能でした。特にコピペの手間を省くエディタとして優秀という評価です。
チャットで生成されたコードを別のエディタに貼り付けて確認する、という往復がなくなります。生成と確認が同じ場所で完結するぶん、試行のサイクルが速くなります。
制約:Canvas内のプレビューには限界がある
一方で、Canvas内のプレビュー機能には無視できない制約がありました。
- チャートが表示されない
- レスポンシブの詳細確認ができない
データ可視化を含む画面や、画面幅ごとの挙動を詰めたい場面では、Canvas内だけで判断しきれません。
対応:デザイン検証用と割り切って引き継ぐ
この制約を踏まえて、次のフローを標準としました。
Gemini Canvas / Stitch → デザイン検証・方向性の合意
↓ 引き継ぐ
Cursor / Vercel など → 詳細な実装「ここで完成させよう」とせず、検証が終わったら実装環境へ渡す。この割り切りが、制約を問題にしないための鍵でした。
Canvasで複雑なアプリを作るときのコツ
検証の中で得られた実務的なTipsです。
Gemini Canvasで複雑なアプリを作る場合は、ライブラリ依存を避け、プレーンなReact等でバイブコーディング(対話型実装)を行うのが現実的です。
外部ライブラリに依存した構成は、Canvas上のプレビューで期待どおりに動かないことがあります。環境に持ち込むものを減らすほど、生成と確認のサイクルが安定します。
試したこと
検証では次の3つのシナリオを実施しました。
- Gemini Canvasでのアプリクローン作成
- Stitchによるレスポンシブデザイン生成
- 幅優先探索アルゴリズムのアニメーション視覚化
3つ目のアルゴリズム可視化まで扱えた点は、Canvasの応用範囲の広さを示しています。
よくある質問
Gemini CanvasとStitch、どちらを使えばいいですか?
役割が違うため、目的で選んでください。手早くモックアップを作って試行を回したいならGemini Canvas、レスポンシブUIを生成して実装に繋げたいならStitchです。Stitchはコードのエクスポートまで対応しています。
非デザイナーでも使えますか?
ラピッドプロトタイピングの範囲であれば使えます。ただし「完成品を作る」用途には向きません。デザイン検証用と割り切り、詳細な実装は別環境に引き継ぐフローを推奨します。
Canvasでチャートが表示されないのですが
これはCanvas内プレビューの制約です。レスポンシブの詳細確認も同様にできません。チャートを含む画面の確認は、CursorやVercelなど実装環境に引き継いでから行ってください。
まとめ
- StitchはHTML/Tailwind CSS/JSXを即時エクスポートでき、デザインと実装のギャップを埋める
- Gemini Canvasはコピペの手間を省くエディタとして優秀。モックアップの即時生成に向く
- Canvas内プレビューにはチャート非表示・レスポンシブ詳細確認不可という制約がある
- 対応は「デザイン検証用」と割り切り、詳細実装はCursor/Vercel等へ引き継ぐフローの標準化
- Canvasで複雑なアプリを作る際は、ライブラリ依存を避けプレーンなReact等で組むのが現実的
プロトタイピングツールは「どこまで作るか」を決めておかないと、途中で行き詰まります。引き継ぎ先を先に決めておくほうが、結果的に速く進みます。
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